宮沢和史が語る『SPIRITEK』 その3
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デビューから今までの約15年間でTHE BOOMや自分のソロにではなく、他のアーティストに書いた曲が60曲ぐらいあるのですが、その中からチョイスした11曲をこのアルバムで歌っています。自分がこれまでに書いたいろんな作品を集めて短編集を作るような、ソングライター宮沢和史15年間の作品集というつもりで作っています。
そうはいっても過去に発表されたものをただカバーするだけじゃなくて、どの曲も新たな作品として生まれ変わるようレコーディングしています。サウンド作りも、アレンジも、信頼する、素晴らしいミュージシャンに委ねて、僕は歌い手に徹しています。
すべて人に書いた曲だし、その人にあった曲を作ってきたし、自分のために書いた歌詞じゃない。女性が主語である歌詞も多いし、アレンジャーも複数です。だから、何か骨組みがビシッとしてないと一枚のアルバムにならないので、とにかく歌が堂々としていて、中心になるようにと、歌をテーマにしています。タンゴがあったりレゲエがあったりするけど、でも真ん中に柱として「歌」がどっしり座ってる。
選曲は、約60曲ぐらいの提供曲の中からあまり選びすぎないで、気軽に今、歌いたいものを挙げてます。スタッフやファンにも好きな曲を訊き、客観的な意見も取り入れてます。今回、歌ってないものでもいっぱい歌いたいものはありますから、いずれまた同じコンセプトで第二弾の制作も考えています。
僕自身、毎日、家で聴いてます。これまでのソロ・アルバムのように、ハイブリッドで新しい音楽を作って、「どうだ、聴いてくれ」というスタンスじゃなく、聴いていて心地良いもの、オーガニックなものとか、そういうつもりで作ったので、何かしながら繰り返し何度も、自分もリスナーになった気持ちで聴いてますね。
それぞれ書いた時期も、書いた相手も違うのですが、新たにレコーディングし完成してみると、自分がこれまでに出会ってきた音楽、歩いてきた道、ミュージシャンとしてのキャリアも全部入っています。そういったことを入れようと思ってアルバムを作ったわけじゃないんですが、それが不思議だなと思っています。
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