09. ピアノ
作詞・作曲:宮沢和史
Produced and Arranged by 小松亮太
宮沢和史
―― ファドとタンゴ
 ポルトガルの音楽にファドという音楽があります。ギターラ・ポルトゲーザというマンドリンに近い弦楽器、それとクラシック・ギターの二本を主に使ったアコースティックな音楽で、人間の業や性、悲しみや絶望を歌い上げる音楽です。僕はずっとファドに憧れていて、この曲はファドで作り、2003年春、リスボンに行き、現地のミュージシャンたちとレコーディングしました。自分でもこの曲を歌いたいと思ってたんですが、ファドではなくタンゴでと思い、小松亮太君というタンゴの第一人者にアレンジを任せました。歌もののタンゴはあまりやらないそうですが、すごくはりきってやってくれました。気合いがガンガン伝わってきて、とてもいい仕上がりになりました。歌詞もすごく気に入ってます。
FROM PRODUCER 小松亮太
―― ロマンチックな音楽に生まれ変わった
 小泉今日子さんの唄を半分程聴いたところでもう腹は決まっていた。原曲のセンチメンタルなイメージを徹底的にオーソドックスなタンゴとして再構築してみよう。つまり怒りや悲しさ、苦しさといった部分をもっと直載に発露し、そのくせポジティブでロマンティックな音楽に生まれ変わらせてみたくなったのである。まずはバンドネオン、ピアノ、ベースには単純明快なタンゴ・ビートを執拗に維持しつつ宮沢さんの背中をプッシュする役回りを与え、反対にストリングス・セクションには堅固なリズムと、燃え上がるボーカルを中和させるしなやかさを求めてみた。イントロや間奏は冗漫さを排除して、ひたすら「厳しさ」にこだわって書いた。ミックスの仕上がりを聴いていた宮沢さんが「荘厳だねぇ……」とつぶやいていたのは、だから何より嬉しかった。僕に好き放題にやらせて下さった宮沢さんに感謝……!
FROM ORIGINAL SINGER 小泉今日子
―― ポルトガルの写真と音をたよりに
 宮沢さんとの出会いはテレビドラマでの共演でした。昔の恋人同士という役柄の設定もあり、撮影の合間もその距離感を大事にしたかったのでほとんどお話をしなかったような気がします。撮影が全部終了し、打ち上げパーティーの時、初めて役柄から解放されて少しおしゃべりをしました。その時に宮沢さんからポルトガルのファドという音楽の存在を教えてもらいました。男達はみんな船に乗って侵略のため他国に遠征に行くという歴史。待っている女達の心を慰める為に生まれた唄。なんだかとっても興味深くてファドのCDを買いました。切なくて強くて優しい唄でした。「ピアノ」は宮沢さんが単身でポルトガルに赴き、現地のミュージシャン達とレコーディングをしてきてくれました。そして何枚かのポルトガルの町並みの写真を撮って来てくれました。私はポルトガルに行った事がないので、その写真と音をたよりに唄いました。そして唄いながら少し女の醍醐味を感じました。
MUSICIANS
小松亮太 Bandoneon
北村 聡 Bandoneon
熊田 洋 Acoustic Piano
近藤久美子 Violin
CHICA Violin
細川亜維子 Viola
高木慶太 V.Cello
田辺和弘 Contra Bass
『厚木I.C.』
楽曲紹介 - ピアノ
2003年にリリースされた小泉今日子のアルバム『厚木I.C.』への提供詞曲。オリジナルは宮沢がプロデュース。ポルトガルの音楽ファドのスタイルで作曲され、リスボンでレコーディングされた。オリジナル歌詞では“歌いたくないのは”「タンゴ」ではなく「ボレロ」。
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