宮沢和史が語る『SPIRITEK』 その1
シンガー宮沢和史に徹したアルバム
 これまで僕は『Sixteenth Moon』(1998年)、『AFROSICK』(1998年)、『MIYAZAWA』(2001年)と、3枚のソロ・アルバムを作り、2003年1月には『MIYAZAWA-SICK』というベストアルバムをリリースしました。今までに発表した3枚のソロ・アルバムというのは全曲書下ろし。自分がそのとき関心のあるミュージシャンたちと、どっぷり組んで作ってきました。
 結果的に1枚目はロンドンで、僕が敬愛するミュージシャン、スティングを取り巻く人たち―――プロデューサーのヒュー・パジャムやミュージシャン、ドミニク・ミラーやマヌ・カッチェたちとで作ったアルバムになりました。2枚目の『AFROSICK』はマルコス・スザーノやフェルナンド・モウラ、レニーニ、カルリーニョス・ブラウンなどブラジルのミュージシャンとブラジルで録音したもの。3枚目の『MIYAZAWA』はそういう流れを踏まえて、さらにいろんな要素をごっちゃ混ぜにし、宮沢の音楽ルームの引き出しをごっちゃにして聴いてもらおうと作ったアルバムです。というか、むしろ逆に言うとあんまりそう考えずに、自然に音楽を作ったら結果的にそうなったものです。それだけ僕の音楽の「引出し」というものが、「ブラジル」であるとか「沖縄」であるとか区切りがしっかりされてるのではなくて、かなりハイブリッドにクロスオーバーした状態になっていて、それが自然に出てきた。それがすごく自分らしいなと思って、自分の名前をタイトルにしたんです。
 そうした「新しいものを作ろう」という試みと、今度のアルバム『SPIRITEK』は違います。今まで人に作ってきた曲が60曲くらいあるのですが、その中から11曲をチョイスして新たにレコーディングし、歌っています。サウンド作りは僕が信頼する素晴らしいミュージシャンやアレンジャーに委ねて、僕はシンガーに徹するというスタンスです。
SPIRITEK
01. Pulse

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