07. 夢の旅人
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作詞:高橋佐代子 作曲:宮沢和史
Produced and Arranged by 森 俊之
SAYOKOさんがジャマイカにひとりでレコーディングしに行くということを聞いて、感銘を受けて作ったもうひとつの曲です。日本人の女性がジャマイカに乗り込んで行くわけだから、ただレゲエをやりましたということだけじゃ、SAYOKOさん自身も納得しないだろうし、アジアの女性が歌うべき歌ということを考え、ジャマイカ人には作れない歌を作ろうと思って作りました。あの時期のSAYOKOさんを代表する曲になったと思います。レコーディングを終えて帰国したSAYOKOさんから、ジャマイカの人たちもオリエンタルなメロディや笛の音がすごく新鮮で面白がってたと、聞きました。
今回は古川昌義さんのスパニッシュ・ギターが入って、不思議な音楽になりました。レゲエなんだけど、ヨーロッパっぽかったり、インドネシアっぽかったり。森さんもレゲエが好きでお互いに聴いてた音楽が似てるし、エンジニアの渡辺省二郎さんが思いっきりダブをやって、こうなりました。
僕と宮さん、そしてエンジニアの渡辺省二郎さんは「レゲエ好き」という部分で密接に繋がってます。ただ我々流というオリジナリティは損ないたくない。その結果がこれです。ハモンド・オルガン、YAMAHAのコンボ・オルガン、ファルフィッサのオルガンと、いろんなオルガンに全く違う役割を持たせ、いい意味でのチープさを出せました。原曲のコード進行を根本から変えて、この大陸的なメロディーとハーモニーの関係を今一度考えるところからスタートしました。5音階の旋律は、和声のつけ方でいろんな表情になったりします。その好例ではないかと思ってます。このアジアっぽさをレゲエで、でもギターはスパニッシュ風にというふうに、混ぜることでオリジナリティが出せたとも思います。省二郎さんの音の出し引きは圧巻で、この手の音楽に精通している人だからこそできるミックスになりました。
1994年、ソロ・アルバム録音のため、ジャマイカでしばらく暮らしていた私は、日本から送ってもらった宮沢くんのデモテープを聴いた。曲のメロディーはもちろん、宮沢君の作った音世界は素晴らしかった。毎日がギラギラと暑い原色の国の風景に、一瞬のうちに淡い涼しい風が吹いた。古代からつづくはるかな時の流れ。美しく広大な大地と山々。原色の墨絵のような夜明けや夕暮れのぼんやりした時間の風景。そして、随分と遠くまでやってきてしまった、旅人がみる夢。私の中にいろんなイメージが浮かんだ。なんて懐の深い、大きな曲だろう。まさに、ジャマイカで音楽の旅の途中だった私は「夢の旅人」という詩を書いた。ジャマイカきっての名プロデューサー、ダニー・ブラウニーが、私が日本から持参した伝統音楽のCDから、古代の石笛や琴をサンプリングして、斬新なASIAN REGGAEを生み出してくれた。
そして、今回の宮沢くんVERSION。いい意味で変わらぬ、リラックスした、宮沢君の声はこの曲にぴったり。昔から歌われてきた童謡のような、なつかしい、素朴な宮沢節。私はこの宮沢節が好きだ。心に朗々とヒビキ、思わずハナウタで歌ってしまう。私にとって名曲とは、まさに、このようなものです。
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・関連リンク
Sayoko HP - 「夢の旅人」のオリジナルシンガーであるSAYOKOさんのウェブサイト。
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