06. 2 Continentes
|
作詞:Moraes Moreira 作曲:宮沢和史
Arranged and Produced by Fernando Moura
原曲の「厚木」は浜崎貴司さん作詞の、小泉今日子さんと彼女の故郷を歌った小泉さんにしか歌えない素晴らしい歌詞でした。ブラジルのショーロとサンバという音楽に影響されて作った曲です。スリリングなメロディだけど、覚えやすくて口ずさみやすくて、昔からブラジルにあるような曲に仕上がったんで、これは今回ブラジルに行ってレコーディングしようと思い、行ってきました。
僕の音楽の中の大きなキーワードであるブラジルは今回のアルバムにもはずせないと思って、それでセカンド・ソロ・アルバム『AFROSICK』のときに一緒に音作りをしたフェルナンド・モウラと、マルコス・スザーノに連絡して、彼らにアレンジ、プロデュースを頼みました。この曲がアルバム・レコーディング最後の曲になりました。フェルナンドをはじめブラジルの友人たちが本当に一所懸命にやってくれたのがうれしかったですね。『AFROSICK』のときに築いた友情というか、いいものを一緒に作ったんだという思いが、もうあれから6年も経ってるのにみんなの中にあって、今回もすごく喜んでやってくれたし、頼もしかった。
ブラジルに憧れて通いだして、もう10年。20回近く通って、いろいろブラジルと闘って、失敗もあったり成功もあったりしたけど、その分、宮沢のためだったら力を惜しまないという友だちもできて、僕の本当に大きな財産ですね。歌詞はフェルナンドの友人のモラエス・モレイラがポルトガル語で書き下ろしてくれました。「ところで『厚木』というのはどういう歌詞なんだ?」と訊かれたんだけど、「まあ、いいから気にしないで」ってゼロから書いてもらいました(笑)。
「厚木」という曲から「2 Continentes」に曲の形を変えることは、ブラジルと日本の文化を渡る注目に値する音楽の旅でした。そしてそれは、改めて音楽というものはユニバーサル言語なのであるということを証明してくれました。全てはMIYAのサンバとショーロの間のようなアレンジを「厚木」に施してほしい、というリクエストから始まりました。
この歌詞を書いたのは、私の大親友でもあり、70年代に革命的なグループ“Novos Baianos”を作った、Moraes Moreiraしかいないと思いました。このグループはいつもショーロとサンバに強い関連を持ちながらも現代への視点を忘れていなかったからです。彼は曲を聴いて、私たちの異なった国の幸福な物語はどうか、と尋ねて来ました。このようにして、この「2 Continentes」の歌詞は現実のものとなったのでした。
私はMIYAにMP3のデモを送りました。彼は直ちに賛成してくれました。私たちはリオのAR Studiosで作業をしましたが、そこでは全てがスムースにうまく行きました。Marcos Suzanoのパーカッションはグルーヴをより良いものにしてくれ、これまでよりもずっとブラジルな感じを与えた上に、リオデジャネイロのLapaと東京の原宿の間のどこかを思わせるようなMIYAの声がスイングしやすくしてくれたのです。この曲は、このレコーディングの全ての参加者にとって素晴らしい音楽の旅でしたし、MIYAのファンの人たちにとっては、心の中の新しい場所に連れて行ってくれたり、この曲の最後の部分が言っているように、どこにいても一人ではないんだという幸せな感覚をもたらしてくれるんじゃないかと思っています。"Nao quero nada com voce^ solidao"(孤独さん、おまえなんかお呼びじゃないよ)と。(一部抜粋/原文は英語)
この曲のデモテープを頂いた時、「出来れば歌詞は小泉さんが書いて下さい」と宮沢さんからのメッセージが添えられていました。何度も何度も繰り返し曲を聴いて歌詞を考えるのだけれど、この曲の持つ気持ち良さに負けてしまい、「海に行きたいなぁ」とか、「気持ちのいい木陰で昼寝がしたいなぁ」とか、そんな邪念?(現実逃避?)に私の脳は支配されてしまい、全く使い物になりませんでした。私にとってサンバとかボサノバは忙しい日々の中、リラックスしたい時に必ず聴く音楽だったからなのかもしれません。結局、宮沢さんと私の共通の友である浜崎貴司氏に書いてもらうことになり、「厚木」という曲になりました。厚木というのは私の出身地、神奈川県厚木市のことです。久しぶりに本格的な音楽活動を再開した私にとって、原点に戻り、唄う事を純粋に楽しむ気持ちというのを呼び覚ましてくれた曲でした。
|
|
・関連リンク
KOIZUMIX - 「2 Continentes」の原曲である「厚木」を歌った小泉今日子さんのウェブサイト。
|