本田美奈子さんのアルバムで3曲、作詞作曲してプロデュースするという、今考えると大きな仕事だったんです。1曲はバラード、もう1曲はインドネシア・バリ島の楽器ガムランを使って、バリに嫁いでいった女性をストーリーに曲を作って。この「僕の部屋で暮らそう」はポップなレゲエで作りました。

　歌詞もメロディも可愛くてとても好きな歌です。今回、自分が歌うにはなるべく装飾せずにということで、山弦とレコーディングしました。二人のギターだけで録っています。最初はパーカッションも入れようと話していたんですが、ギターを録ってみたら、いいよ、もう何もいらないよということで完成しました。

　今回宮沢君のニューアルバムに参加を要請されて、何より嬉しかったことは、彼のような稀有な才能を持った、同世代の（ちょっとだけ僕の方が年上かぁ…）シンガーソングライターの作品・しかも彼が今まで他のアーティストに提供してきた作品の「2004年型・Song book」を一緒に作ることができたこと、である。それは僕にとっては、例えばCarol Kingの『つづれおり』に参加するに等しい行為であり、「歌」を愛する音楽家冥利につきる仕事、であった。

　山弦として参加させてもらった「僕の部屋で暮らそう」は、宮沢君の自宅にお邪魔して、アイカタの小倉博和氏と3人でゆっくりとアレンジを練りながら作業を進めていったのだが、既存の商業スタジオでの「お仕事」っぽい雰囲気がなかったせいか、「文化祭の準備に没頭する高校生（？）」のようなムードでリラックスしながらやれたことが独特の一体感を生む要因になったと、今にして思う。作業が煮詰まるとお茶を飲みながら、宮沢君のお気に入りのCDを聞きながら談笑し、エンジニアの（渡辺）省二郎さんと録音のプランについて語り合ったりと、終始楽しくやらせていただいた。（一部抜粋）

　二人で暮らしたい理由は色々。つき合い出して半年もたてばデートもメールも普通の事になって来て、次の段階に進みたくなるもの（もちろん相性が合えばだけど）。

　お互いの事をもっと知りたい。

　二人で住むのなら、いい所に引越（うつ）れる。

　デートの際の諸経費も軽くなるかも。

　相手をもっと独占できる……なんてコワイものもあるのかなァ。

　でも二人で生活（くら）すって事は相当の覚悟がいるもの。失敗をおそれず、まずやってみる、あれこれ考える前に行動するのもいいけど責任も必要だよね。すこやかな時もそうでない時も助け合っていい事は想い出に、失敗は教訓に。

　相手の笑顔も涙も受け止められるお互いでいれるよう。

　なんでもない事の中に幸せを、明日、世界が終わるって時にも笑顔を……なんてちょっと大ゲサかなァ。

　宮沢さんのこの詩声（うたごえ）を聞いた時、そんな事を考えさせられちゃいました。ありがとう。

　この詩（うた）の中の二人がずっと幸せでありますように。

　初めて宮沢さんのコンサートを拝見させて頂いた時の感動を今でも覚えています。ステージ・客席全て音楽が大好きな人達の集まり。“音楽”の文字通り、皆さん音を心から楽しんで輝いていました。私はその時「宮沢さんに曲を作って頂きたい」と強く思ったのです。その願いが叶い「僕の部屋で暮らそう」が生まれました。このメロディーは心に優しく優しく溶けてゆき、そして詞の世界のヒロインになってみたい、こんなに愛されて、大切にされ、心と体を全て包み込んでくれる恋愛をしてみたいと、女性なら誰もが思う事でしょう。

　「君の笑顔をひとつ残らず見逃したくないから僕の部屋で暮らそう」なんて言われたら、心の底からときめき、そして輝く未来へ向かって歩んで行く力が湧いてくる。宮沢さんの曲・詞は、人々の心に響き渡る、果てしないエネルギーを持っています。私も宮沢さんが作って下さった曲を歌うと心が躍るんですョ。これからも人々の心を躍らせ続けてください。