04. 誰よりも遠くから
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作詞:宮沢和史 作曲:川村結花
Produced and Arranged by 森 俊之
川村結花さんに書いた歌詞です。2002年夏、ソロでのスペイン公演のあと、ポルトガルに初めて行ったんです。そのときロカ岬というヨーロッパの最西端に行きました。その岬に立ったときにいろんな感慨があったんです。ブラジルやアルゼンチンなど、ポルトガルより遠いところに行ったこともあるのですが、その岬に佇んだときに、遠くまで来たなあと思ったんです。大航海時代にはポルトガルからたくさんの人たちが家族や恋人を置いてここから旅に出たんだろうし、そんな歴史も想像しながらホテルに戻ってこの詞を書きました。歌詞を書く作業というのはたいていつらいんだけど、この詞作はすごく楽しかったですね。いちばんあなたから離れたところで、いつまでも愛してるという、愛のひとつのあり方、究極の愛の形を歌ってます。メロディがすごくよかったから、言葉を載せるのは楽でしたね。
この曲は、2002年のソロ・ツアーでも歌っています。自作自演にこだわってきたので、THE BOOMのコンサートでも人の歌を歌うというのはあまりないことですが、ソロに関しては「歌い手」という僕の中のひとつの要素だけでも勝負したいと思っていますし、いい歌は積極的に歌いたいと思ってます。この曲を歌って欲しいというファンからの声も参考にしました。
原曲はピアノ・メインのバラード。だからこそピアノの持つハーモニーの束縛から逃げたかった。そしてフォークロック風なイメージ、男っぽさも表現したかった。だからガッツあるギブソンのアコギ(鈴木茂さん)をメインに据えて、その上でこの歌詞が聞こえてきたなら、という設定で、アレンジに取りかかりました。歌と共に歌うのがハモンド・オルガン。沼澤尚さんと沖山優司さんが奏でる、バラードなのにシャキッとしたタイトなリズムこそ、最も求めていたサウンドであり、いい意味で歌詞との距離が味となっていると思います。間奏のギターソロは圧巻! 茂さんでなきゃできない逸品です。またこの曲でもいろんなノイズで作ったビートをループさせてます。熱くなり過ぎたくなかったからです。冷たさはこの曲でもいい雰囲気を醸し出してます。
念願だった宮沢さんとのコラボレイション。その詞をいただいたとき、同時に宮沢さんがほんの2小節ほどの部分の譜割りを「こうしてみたら?」とガットギターで弾き歌ったMDをくださった。それはそれはきらきらしていた。どこか澄み渡った場所へ連れて行かれるような感覚がした。とにかくわたしは即ピアノに向かい弾き歌っていた。そしたらどんどんコードが変わって行った。べつのメロディを足したくなった。そうやって音楽のなりたがっている方へと自然に自然に歩いて行くうち、曲全体が祈りに包まれていったような気がした。いやもうとにかく宮沢さんと一緒に音楽が作れてしあわせだった。本当に音楽が生まれたがっている瞬間というのはこういうことだとたしかに感じたから。ずっとたいせつにしようーー。
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・関連リンク
Yuka Kawamura Website - 「誰よりも遠くから」の作曲者・オリジナルシンガーである川村結花さんのウェブサイト。
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